Richard Devine ‎“Asect:Dsect”

richard devine 

Richard Devine 「Asect:Dsect」
レーベル:Schematic
リリース年:2003年
ジャンル:IDM, Experimental


ポストオウテカの最右翼、繊細なノイズの粒子がぶつかり合うIDMアーティスト、Richard Devineの2nd

アメリカ南部は独特なダンスミュージックが発展していった。ジャンル名に地名が含まれているがマイアミベースは早い重低音のきいたBeatで人々を躍らせまた発祥は違うもののJuke/Footworkにも通じる部分もある。Hiphopもサウスはイースト、ウェッサイとは全く別の進化を遂げ、CrunkやTrapなどダンスに重点を置いたジャンルへと発展して至った。

しかしこのようなダンスミュージックとは別にアメリカ南部では特に2000年代前後ではエレクトロニカ、IDM方面でも大きな勢力を持っていた。例えばマイアミを拠点としたMerck Recordsはエレクトロニカ系Hiphopでは最も有名なレーベルの一つであろうし、IDMの著名なアーティストとしてはOtto Von Schirachはマイアミ、以前紹介したPrefuse 73もアトランタ出身だったりする。

そんなアメリカ南部で実験的な電子音楽を製作しているアーティストの一人がRichard Devineだ。彼を紹介する文としてよく「ポストオウテカ」というのをよく目にしていた。90年代にIDMというジャンルが生まれ様々な機材、技法を用いたアーティストが生まれたが、そのなかでもRichard Devineの楽曲は線密な音を奏でている。「ポストオウテカ」と評されるが音の線密さではRichard Devineの方が細かいと言える。

この作品はアルバムとしては前作にあたる「Aleampper」よりもビートが強くなった印象を受ける。IDM、エレクトロニカ系の楽曲はクラブのフロアでかけるのが少々怖いのだが、しっかり鳴っており問題なくかけることができた。アルバムはこのようにクラブで鳴らせる楽曲もあれば、ノンビートのノイズを聴く楽曲、また基本的にメロディのない楽曲が多いが、メロディに重きを置いた楽曲もありなかなか幅の広いアルバムになっている。

「Corina Chirac」は多くの細かい粒子のようなノイズが繊細ながら攻撃的な楽曲。この細かさがRichard Devineの強みだろう。

「Rusx Fee」は上で書いたクラブでかけたことのある楽曲だ。開始は不穏な空気ながら静かな楽曲であるが途中からノイズともドラムも言えるビートが暴れだす楽曲。

アルバムを通してひたすらノイズが鳴り続けるアルバムであったが、「Randale」などラスト2曲ではメロディも聴くことができる。


このアルバムを始めプログラミングの複雑さからか、一時期7台のパソコン(⁉︎)を用いて楽曲を作っていたというRichard Devineだが近年はモジュラーシンセによる製作がメインになっているようだ。彼のFacebookのアーティストページやインスラグラムを見ているとよく大量のモジュラーシンセとパッチングによる楽曲制作の様子を見ることができる。僕はモジュラーシンセを持っていないのだが、結構興味をもっているためこの動画みるのがなかなか楽しみだったりする(全く訳がわからないんだけどね)。このモジュラーシンセへの思いを語ったインタビュー動画があったので貼っておく。